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2005.04.18

井上荒野「しかたのない水」を読んだ。

2月に買って、読んでいなかった井上荒野著「しかたのない水」を、日曜の夜に読みました。

・「しかたのない水」井上荒野著 (Amazon.co.jp)

この本を手に取ったきっかけは、吉田修一さんの「パレード」を髣髴させる作品だったからです。両方とも特定のつながりのある人物たちによる連作短編集です。「パレード」は共同生活する男女、「しかたのない水」はフィットネスクラブに通う男女、となっています。

読んでみると、突き放したような終わり方は、吉田さんっぽいかも、と思いました。もっとも、キャリアは井上さんのが長いみたいですが。

多分、都下調布のフィットネスクラブに集う男女をそれぞれ一章ずつピックアップしつつ、その中に他の一編の主人公が、それぞれの視点、ていうかあくまでも他人として語られるという形が徹底されています。出てくる人が、みんなろくでなしか、ちょっと抜けている人ですが、最後の人は、自分が馬鹿にされているとわかっている人でそれでも前向きに生きていて、唯一好感が持てます。

人間の鬼畜さ、情けなさや、弱さ、ずるさなど、基本的にはあまり救いのない話ですが、そういうのをさらっと描いているのは悪くないし、コンパクトで非常に読みやすい作品です。中途半端に、ミステリーっぽさを入れたりしていますが、それがぶち壊しというわけでもないので、ちょっとしたアクセントです。

【トラックバックさせていただいた記事】
夕刊フジBLOG:こんなブログがあったんですね。
浅き春に寄せて。。:「潤一」というお勧めの作品があるんですね
恋恋日記:僕も後ろめたい部分ありありです

【過去の記事】
吉田修一著「春、バーニーズで」を読む

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コメント

TBありがとうございました。
書いていらっしゃるとおり、救いの無い話ですがさらりと読めて不快感も無くて面白い1冊でした。

投稿: 桜井 | 2005.08.03 12:13

桜井さん、
コメントありがとうございますね。
人って、それぞれいろいろ背負っているものありますよね。
そういうのをさらっと、それぞれの視点で冷たく書いているのが、よかったです。
書評が読み応えがあるので、またお邪魔させてもらいますね。

投稿: TINO | 2005.08.09 21:34

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» しかたのない水 [恋恋日記]
著者: 井上 荒野タイトル: しかたのない水 スポクラに集う人々の物語。 人から普通に見える人、羨ましがられる人、疎ましく思われる人、好奇心の目で見る人見られる人、いろんな人がいるけどみんな人には言えないことや、後ろめたい部分ってもってるんだな。 たま〜にいません?超超超ポジティブな人、いっつも笑顔な人、すんごく親切な人。そりゃ年中ぶーたれた顔して文句や人の悪口ばっかり言ってる人�... [続きを読む]

受信: 2005.04.23 21:24

» しかたのない水 / 井上荒野 [書庫  ~30代、女の本棚~]
フィットネスクラブを舞台に、従業員やフィットネスクラブの会員の男女のプライベートと、少しずつ顔を合わせるだけの人間が絡み合う瞬間を描いた連作短編小説集。 恋愛が軸にあるものの、ほのぼのとした恋愛は1つも無く、全ては澱みグロテスクな男女の関係ばかりである。... [続きを読む]

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