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2006.01.16

涙! 涙!! 涙!!! 「その日のまえに」 重松 清 著

二作しか読んでいませんが、重松清さんの小説が好きです。素直に(かっこわるい)青春小説過ぎるデビュー作「ビフォア・ラン」のストレートさと、「エイジ」のいまどきっぽい中学生たちの躍動とリアルさ。

そして「その日のまえに」。死を予感させるタイトルは、まさに生と死と幸せをテーマにした短編集です。

その日のまえに

・ひこうき雲
・朝日のあたる家
・潮騒
・ヒア・カムズ・ザ・サン
・その日のまえに
・その日
・その日のあとで

タイトルを見るとわかりますが、前半4つの短編と、後半3つは連作となっている構成です。
「その日」シリーズは普通に泣けますが、ある仕掛けがさらに泣かせてくれます。昔はこんな泣く人間じゃなかったんですけどね。

・ひこうき雲

クラスの嫌われ者の女子が手術のために入院・転校した。そんな彼女にお見舞いに行くクラスメイト達の微妙な行動を、30年後のその中の一人の男の子の視点で語る。

・朝日のあたる家

中年の高校教師の女性が、元教え子の自称カメラマンとDVに悩む人妻を導く。

・潮騒

ガンで余命3ヶ月宣告された男が、夏の海で亡くなった同級生に導かれて、当時いた町にふらっと来て、当時の同級生と昔を語る。最後の列車に感動。

・ヒア・カムズ・ザ・サン

胃カメラを飲むという母の言葉にストレートに向き合えず、母が入れ込むストリートミュージシャンを尋ねる高校生。

・その日のまえに

新婚当初過ごした町を訪れた夫婦。二人の思い出とは異なってしまった町と変わらない町。ここでも最後の駅のエピソードがいい。

・その日

いよいよ「その日」を迎える妻を、夫と息子たち達が泣きながらも向き合う。

・その日のあとで

母がいなくなっても続く日常を時折悲しくなりながらも過ごす残された家族。その日から三ヵ月後に夫に届けられた手紙に書いてあったのは?


作品全体で、リアルな死を描き、決して奇跡なんか訪れない。けど、あの世でみんな出会えたり、十分な時間を持って死ぬ日を迎えられるのを、前向きに捉えることができる。

自分にも訪れる死ぬ日は、本当にいつ来てもおかしくないですよね。絶望を感じたとき自分はどう行動するのか。
そんなの思う間もないのか。

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